イラレ(Illustrator)の「裁ち落とし」って何?天地左右3mmの意味や注意点を初心者にも分かりやすく解説!

Illustrator(イラレ)でチラシやポスターを作るときに必ず出てくる「裁ち落とし」や「天地左右3mm」という用語。
最初にこれを見たとき、「何のため?」「どこをどうすればいいの?」と戸惑った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デザイン初心者の方にも分かりやすく、裁ち落としの意味や目的、作業のタイミング、注意点を丁寧に解説します!
裁ち落とし(トンボ)って何?
印刷物は、最終的に紙を「断裁」して仕上がりサイズにカットします。このとき、わずかなズレが生じると、紙の端に白いスキマ(白フチ)が出てしまうことがあります。
この白フチを防ぐために、あらかじめデザインを仕上がりサイズよりも少し大きめに作る余白のことを「裁ち落とし」と呼びます。
「天地左右3mm」ってどういう意味?
「天地左右」は、上下左右のことを指す印刷用語です。
- 天 = 上
- 地 = 下
- 左 = 左
- 右 = 右
つまり、「天地左右3mm」とは上下左右それぞれ3mmずつ余白(裁ち落とし)を付けるという意味です。
例えば、A3サイズ(297×420mm)のデザインなら、裁ち落とし込みでは下記のサイズになります。
サイズの種類 | 横幅 | 高さ |
---|---|---|
仕上がりサイズ(A3) | 297mm | 420mm |
裁ち落とし込み | 303mm(+6mm) | 426mm(+6mm) |
裁ち落としは何のためにある?
一言で言えば、「断裁ズレが起きても、印刷物のフチに白が出ないようにするため」です。
特に以下のようなデザインには、裁ち落としがとても重要です。
- 背景が紙いっぱいまで塗られている
- 写真が端まで配置されている
- カラー帯や図形が上下左右にある
こういった要素は、必ず赤い線(裁ち落としのガイド)まで伸ばす必要があります。
裁ち落とし部分は真っ白でもいいの?
これはよくある疑問ですが、答えはNOです。
裁ち落としが白いままだと、断裁時に少しズレた場合、白いフチが見えてしまって非常に目立ちます。(=裁ち落としの意味がありません)
そのため、裁ち落としの部分には以下のような処理をしましょう。
- 背景色がある → 色を裁ち落としの外まで伸ばす
- 写真がある → 写真を裁ち落としラインまで配置する
- パターンや図形がある → ズレても自然に見えるように延長
裁ち落としの調整は最後でも大丈夫?
はい、裁ち落としを付けるのはデザインの最後でOKです!
デザイン作業中は仕上がりサイズ内でレイアウトを整えて、最後に背景や端まで届く要素だけを3mm外側に伸ばすという流れがスムーズです。
Illustratorでは、「表示 > 裁ち落としを表示」をオンにしておくと、赤いガイドラインが表示されて調整しやすくなります。
後から裁ち落としを表示することもできる?
はい、Illustratorではデザイン作業の途中や後からでも裁ち落とし(塗り足し)のガイドを表示・設定することができます。
もし最初に裁ち落としを設定し忘れてしまっても大丈夫。
以下の方法で簡単に追加・表示できます。
【裁ち落としを後から設定する方法】
- メニューの「ファイル」>「ドキュメント設定」を開く
- 「裁ち落とし」の項目に数値を入力(一般的には上下左右3mm)
- 「OK」を押すと、赤いガイドラインが表示される
この赤いラインが、裁ち落としの範囲です。背景や写真などをこのラインまできちんと伸ばすように調整すればOKです。
裁ち落としの基本は何ミリ?
裁ち落としのサイズは、上下左右それぞれ「3mm」が基本です。
これは多くの印刷会社で共通して使われている基準で、断裁時のズレを吸収できる安全な余白として設定されています。
もちろん印刷会社によっては異なる指定(5mmなど)がある場合もありますが、特に指定がない限りは「3mm」で設定しておけば問題ありません。
Illustratorで新規ドキュメントを作成する際も、初期設定で裁ち落としが3mmに自動設定されていることが多いです。
まとめ:裁ち落としのポイント
ポイント | 内容 |
---|---|
裁ち落としの目的 | 印刷ズレによる白フチを防ぐため |
天地左右3mm | 上下左右に3mmずつ余白をつける |
伸ばすべき要素 | 背景色、写真、図形などフチまで見えるもの |
伸ばさない要素 | 文字・ロゴなどは内側に配置 |
調整タイミング | デザインが整ってから最後に調整でもOK |
「裁ち落としって何?」と思っていた方も、この記事でその役割と意味がしっかりイメージできたのではないでしょうか?
印刷入稿でトラブルを避けるためにも、ぜひこのポイントを押さえてデザインを仕上げてみてくださいね。